納骨堂経営のための簿記入門講座 有形固定資産の減価償却
有形固定資産の減価償却
土地以外の有形固定資産は、使用によって磨耗し、時間の経過とともに劣化したり旧式になったりして、やがて使えなくなる時が来ます。
- 有形固定資産を取得して使用を開始した時から使えなくなる時までの、使用可能であろう期間を耐用年数といいます。
- 使用できなくなった有形固定資産を売って得られるであろう処分価額を残存価額といいます。
- 通常の実務では耐用年数・残存価額ともに税法により資産の種類・用途ごとに決められているものを使います。
- 取得原価 − 残存価額 の金額を耐用年数で割った金額を、その年の資産の減価(価値が減ること)とみなして費用に計上することが減価償却です。費用として処理する減価償却の額は減価償却費勘定(費用勘定)の借方に記入します。
減価償却費(年間)= (取得原価 − 残存価額)/ 耐用年数
このとき、貸方の勘定科目の使い方で直接法と間接法の二つがあります。
- 直接法とは、減価償却費の額を減価償却をした資産の勘定科目の貸方に記入する方法のことです。この方法では、その資産の勘定科目の残高は、減価償却後の額となります。
- 間接法とは、減価償却費の額を減価償却をした資産の勘定科目に付随する評価勘定である減価償却累計額勘定の貸方に記入する方法のことです。減価償却累計額勘定の残高は貸方に残ります。
取引記録にある各資産の減価償却をしてみます。
019で購入したライトバン
取得価額: 1,200,000
残存価額: 120,000
耐用年数: 5年
年間の減価償却費 =(1,200,000 − 120,000)÷ 5 = 216,000
計上する減価償却費 = 216,000 × 11ヶ月 ÷ 12ヶ月 = 198,000
- 借方:(減価償却費) 198,000
- 貸方:(車両運搬具減価償却累計額) 198,000
とする仕訳を起こします。
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003で購入した金庫
取得価額: 400,000
残存価額: 40,000
耐用年数: 20年
年間の減価償却費 =(400,000 − 40,000)÷ 20 = 18,000
- 借方:(減価償却費) 18,000
- 貸方:(備品減価償却累計額) 18,000
とする仕訳を起こします。
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005で購入したパソコン
取得価額: 200,000
残存価額: 20,000
耐用年数: 6年
一台当たりの年間の減価償却費 =(200,000 − 20,000)÷ 6 = 30,000
計上する減価償却費 = 30,000 × 15台 = 450,000
- 借方:(減価償却費) 450,000
- 貸方:(備品減価償却累計額) 450,000
とする仕訳を起こします。
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余談
- 減価償却の方法について:
- 定額法(straight line method)の他に、定率法(fixed percentage method)などの方法があります。
- 定額法の期間償却費の額は「(取得価額 − 残存価額)÷ 耐用年数」 で求めます。
- 法人税法・所得税法では 「1 ÷ 耐用年数」 を償却率とし、「(取得原価 −残存価額)× 償却率」で期間償却費の額を求めます。
- 定率法の期間償却費の額は「簿価 × 償却率」 で求めます。
- 償却率は「1 − (耐用年数)√(残存価額 ÷ 取得価額)」で得られます。
- 法人税法・所得税法での償却率(小数点以下3位まで)の小数点以下3位未満の端数処理に法則性はないので、「減価償却資産の償却率表」(「減価償却資産の耐用年数に関する省令」別表九)で償却率をさがします。⇒減価償却率表
- 開業・新規事業開始などの後、一定の期限内に、法人税法・所得税法で認められた減価償却の方法のなかから、資産の種類ごとに減価償却の方法を選択し、「減価償却資産の償却方法の届出」をしていなければ、所得税は定額法で、法人税は定率法で減価償却し、所得の額を計算しなくてはなりません。
⇒国税庁Web:税務手続の案内:法人税・源泉所得税関係
⇒国税庁Web:税務手続の案内:申告所得税関係
償却方法が決められている資産や、その時の税法により償却方法の選択が制限されている資産に注意。
- また、一度採用した減価償却の方法は、むやみやたらに変更してはいけません。変更するには、合理的な理由がなければなりません。
法人税法・所得税法では、ある年数を経過した後、「減価償却資産の償却方法の変更承認申請」をして変更します。
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